月経随伴性気胸の記録ブログ(診断・治療・生活・仕事)

このページでは、病気の体験をご紹介しています。

このページにたどり着かれた方は、「月経随伴性気胸」と何らかの関係がある方だと思います。ある一個人、一患者の体験になります。ご参考程度に、情報提供をさせていただければと思います。

YUKIKO

まさか私が、こんな珍しい病気になると思わなかったから、少し驚きました。しかも、わからないことばかりで手探りだし。

でも、先生や看護師さん・家族の支え、職場の理解があってなんとか付き合ってこられました。

月経随伴性気胸とは?どんな病気?

生理の前後に発症する珍しい気胸があり、月経随伴性気胸といいます。 これは子宮内膜の成分が肺や横隔膜にでき、生理のときに子宮内膜成分が剥がれ横隔膜に穴が開く、あるいは肺に穴が開くことが原因と考えられています。 気胸は女性には比較的少ないので、女性が気胸を起こしたときは、月経随伴性気胸の可能も考えます。

気胸|大阪医科大学 外科学講座 胸部外科学教室

「月経随伴性気胸」と診断されて何度もWebサイトで調べましたが、自分としては、症状があるだけなので、何が起こっているのか、よく理解ができませんでした。

でも、肺ではなく、腸にできる場合もあると聞いて、腸じゃなくてよかった、とそれだけ思いました。肺なら苦しいだけで済むけれど、腸だと、もっと大変だと思ったからです。

症状(私の場合)

正常時との比較

私のなかで、この病気と付き合ってきた中での三段階の定義、「正常時」、「気胸未満の時(息苦しいが肺に穴はあいていない)」、「気胸の時(肺に穴が空いている/しぼんでいる)」に分けて、具体的な症状をまとめてみました。

息が苦しいな、と思っても、肺に穴が空いていない/しぼんでいない(気胸でない)状態のときも、よくありました。

正常時気胸未満気胸
呼吸・会話問題なしほんの少し苦しい少し苦しい
(会話の相手にも分かる)
平坦な道の徒歩問題なし少し苦しい、スピードが遅い少し苦しい、スピードが遅い
坂道・階段問題なし遠慮したい、辛い無理、平行移動のみ可能
床にかがむ・ベッドから体を起こす問題なし少し苦しい苦しい
包丁で切るかぼちゃ以外OK力が入らないので、ニンジンなど硬いものは無理豆腐やキウイなど、柔らかいものしか無理
食材の買い物をする問題なし牛乳など重いものは辛い物を見てとってカゴに入れて、歩いて・・一連の動きがしんどくて無理
仕事問題なし座り仕事なら問題なし、力仕事は無理座り仕事なら問題なし、力仕事に加えて、慣れていないところへの外出も無理
ヨガ・ストレッチ1.5時間10分程度のゆっくりした動きなら可能無理
平坦な道なら問題なく歩けます

私の病歴

月経随伴性気胸を発症したのが、2013年 38歳のとき。その10年以上前(20代前半)から、婦人科系の調子は悪かったです。生理痛はないのですが、腹部に変な痛みがあったり、なんか変だなと思うことがあり、病院に行ったりしていました。

特に、仕事で多忙をきわめた、2002年頃は、子宮内膜症、チョコレート嚢腫、子宮筋腫などを一度に患い、薬を飲んだり、リュープリン注射で治療をしました。注射が高くて、若かったから、お金がきつかったのを覚えています。

毎日腹痛で立って歩くことができず、有給もなくなり・・。ちょうど結婚のタイミングだったので、一年ほど仕事を辞めていました。

その後、仕事をしたいというところまで復活し、ゆったりした仕事を見つけて、無理はしない範囲で仕事を続けてきました。

発症する前までは、子宮筋腫はあるものの、治療の必要もなく、まあまあ健康体でした。
(ただし、2010年の血液検査では、婦人科の腫瘍マーカーCA125は66と、基準値より高めでした)

また、生理痛は、この頃から今まで、ほとんど経験がありません。

診断の経緯

発症

息が苦しい

2013年の梅雨頃、普通に歩いているだけで息が苦しくなり、歩くスピードが異常に遅くなりました。普段は気が付かないほどの、少しの傾斜の坂にもすぐに気がつくくらい、重力に逆らう動きが苦手になり、10メートルが永遠の距離に思えます。駅の階段も登る気がしません。

でも、疲れかな、と思っていました。

それと、「肩が異常に凝っていて歩き辛い」「背中が痛い」などもありましたが、もともとひどい肩こりなので、運動不足だと思っていました。(のちのち分かるのですが、肺が悪いと、肩や背中にも影響があるようです。肺がんだった上司も、お酒を飲むと肩が痛くなると言っていました。)

かかりつけ医でレントゲン

上記症状が出て2−3日たったとき、さすがにこれは異常かも、と思って、会社帰り、駅からかかりつけ医に直行しました。

「心臓病」とか「バセドウ病」とか、息苦しいと聞いたことがある重い病だったらどうしよう、と思っていました。

かかりつけ医ですぐにレントゲンを撮ってくださり、「これは苦しいに決まってます。右の肺が少ししぼんでいますから。」と言われました。

肺のレントゲンを見るのも初めてだったし、素人目だと、そこまでしぼんでいると思わなかったので(左肺に比べて右肺の上部が1cmくらい、下がっている)、そんなもんかな?と思いました。

近所に、肺を見てくれる大きな病院は2つあり、行きやすい方を選んで、先生から連絡をしてもらいました。

診断書を持って、翌日、その病院に行きました。もちろん会社は休みました。

診断

呼吸器内科でレントゲン・観察

呼吸器外科では、気胸の説明があり、女性の場合、月経随伴性気胸の可能性があるという説明をしていただきました。

そこで、生理の周期と肺の状態をしばらく観察することになりました。山登りをしたり、飛行機に乗ったりはしないでね、ということでした。

この時思ったのは、もう一生飛行機に乗れなかったらどうしよう、ということでした。旅好きなので。

2ヶ月ほど、週に一回、半休をとって、病院に通い、月経周期と肺の状態(レントゲン)、症状、血中酸素濃度を図って様子をみました。

そこで、月経随伴性気胸という診断がおりました。

その間の症状としては、生理前後はもちろんですが、常に多少の息苦しさはありました。(上記表の、「気胸未満」と「気胸」をいったりきたり)

幸い、通勤も通院も、坂のない徒歩、バス、エレベーターを使っての移動が可能だったので、ゆっくり、ゆったりしながらも、普通に過ごしていました。バタバタした、忙しい生活は無理だと思います。

痛み止めの薬を処方してもらっていましたが、飲むほどの痛みは一度もなかったです。

会社も休みは取りやすいので、問題はなかったのですが、自分の中で少々の抵抗はありました。でも、そんなことは言っていられない、という状況です。遠出の外出なども、行けませんと断りました。

呼吸器外科でCT・手術へ

診断がつき、呼吸器外科に移りました。そこで、あまり事例のない病気なので、これで治るという治療法もないけれど、最善を尽くします、と言ってくださいました。

この病院では、私が初めての患者だということでした。(その後、何人かいらしたようです。割と近くに気胸で有名な、玉川病院があるのですが、そこではすでに治療の情報が出ていたり、桔梗の会という患者さんコミュニティもありました。)

また、CT(肺を輪切りにした写真)をとると、肺全体に星屑のような細かい穴が、また、横隔膜にも同じような穴が無数に空いていることが分かりました。

そして、外科なので、まずは手術をしてみましょう、それで治れば良いですね、ということになり、休暇を予定していた10月に、早速行うことになりました。

YUKIKO

初めての手術があれよあれよといううちに決まってしまい、戸惑ったよね。

家族も心配したけれど、盲腸よりも安全な手術らしいとのことで、ほっとしたのを覚えています。また、とても信頼できる先生でした。

治療

ではどんな治療をしてきたか?について、下記にまとめてみます。

手術

1回目

2013年10月に一度目の手術をしました。肺にメッシュのネットを貼って、細かい星屑のような穴を塞ぐのです。

手術は数時間で無事終わりましたが、全身麻酔明けの寒さで凍え死にそうでした。。あと、痛みも苦しみもあって、苦しい一晩を過ごしました。特に、肺にたまった不要な液を外に出すために、体に刺さっている、太いドレーン(管)が邪魔で、苦しく、きつかったです。

2日目以降もドレーンはしんどくて、それを指したままベッドから起き上がったり、お手洗いに行くのはきつかったです。

痛み止めは、常にいただいていましたので、痛みの緩和はできました。(体のどこかに刺さっている管にピストンで入れたり、ロキソニンを飲んだり)また、食事制限はないため、もりもりのお膳が届きますが、疲れるので、そこそこにしていました。

病院のベッド
パジャマは汚れるし、すぐ替えたいのでレンタル一択です

3-4日目にドレーンがとれて、5日目に退院となりました。その後自宅で一週間、安静に静養していましたが、「痰がティッシュ一箱出る」と言われていた通り、重い咳と痰はたくさん出ました。

その後、なんとなく回復したのですが、約3か月後の年明けにまた、苦しさが戻ってきました。また、口のなかから小さな泡がコポコポと出てくるのです。

呼吸器外科で、呼吸を楽にする、細いドレーンを装着してもらい、それをつけて生活をしていました。(会社にも行っていました。)

細いドレーンも、シャワーのときは邪魔だし、かがんだりしても内臓が動いたような気持ち悪さがあって、辛いことは辛かったですが、呼吸は楽になりました。

またこの間も痛み止めをたくさんいただきましたが、飲むことはありませんでした。痛い、ということはありませんでした。

そんなこんなで、再度、夏休みを利用して、手術をすることになりました。こんな状態なのに、仕事が少し忙しかったのと、2回目で慣れていたので、夏休み中に済ませようと思いました。

2回目

2014年8月、1週間の夏休みが始まる前日の金曜日を午後休にして、入院しました。翌土曜日の午前中に手術です。

今回は、肺の壁を体にくっつけてしまって、もう肺がしぼまないようにする手術でした(癒着術)。ネットで調べると、それが原因で苦しくなった、というような情報もあり少し不安でしたが、よくなる方向に動くしかないし、先生が信じられました。

今回は、前回の教訓で、全身麻酔の前から「死ぬほど寒くなったので、温めてください」とお願いして、ホカホカの電気毛布にくるまれたまま、術後を迎えました。また、前回はつけてもらっていなかったのですが、カテーテルもつけてくれていて、これもとても楽でした。

ドレーンは前回と同じだけれど、精神的にも肉体的にも随分落ち着いていました。そして、4日ほどで退院し、夏休みの残りを家で過ごして、痰を出しました。

YUKIKO

この時は、ゼイゼイゴホゴがひどくて、目をまんまるにした飼い猫に驚いたように見つめられていました。

その後も軽くはなりましたが、肺の奥から出てくるような、謎の咳は続きました。

薬の服用

低用量ピル(ルナベル)

2回目の手術の前に、呼吸器外科の先生から、手術で治るかもしれないけれど、ホルモン療法も同時に取り入れた方がよい、というお話があり、同じ病院内の婦人科にも通い始めました。

そこで、先生から、低用量ピル(ルナベル)という薬があるが、副作用が出ることもあるし、月経随伴性気胸に効いたという結果もあるが、全員が全員効くわけでもない、ということをうかがいました。

参考リンク)ルナベル配合錠

2回めの手術の結果、苦しさがまだ少し残った、という状況をうけて(だと記憶していますが)、この低用量ピル(ルナベル)を服用し始めました。2014年の10月頃だったと思います。

もう、肺はしぼんでいないのですが、なんだか息苦しいという感じで、症状 のところでまとめた「気胸未満」の状態があったと思います。

飲み始めて3ヶ月・・肺を癒着させた違和感は残るもののの、息苦しさはすっかりなくなりました。

最初からこの薬を飲んでいればよかったのかな?とも思いましたが、手術にトライしたことに後悔はありませんでした。

そして、この薬を飲み続けながら、ヨガを始めたり、健康的な生活を意識して取り入れました。また、2015年末には、飛行機に乗って、海外旅行にも行きました。

そのまま調子よく、2019年まで飲み続けました。

ディナゲスト(ジェノゲスト)

2018年、44歳になり、婦人科の先生が、年齢的にもそろそろ他のリスクを考えて、低用量ピルでなく、更年期をおさえるための薬、ディナゲスト(ジェノゲスト)に切り替えていくことを考えたほうがよいというお話がありました。

ただし、それで効いた人もいるけれど、私に効くかどうかは分からないということでした。

そこで、2019年に入り、仕事なども落ち着いていたので、切り替えてみることにしました。

ネットで調べると、白髪になるとか、太る、とか、そんな副作用も書かれていましたが、服用して約一ヶ月、そういったことは一切ありませんでした。

でも、一番心配していた、息苦しさが戻ってきました。そして、忘れかけていましたが、以前よくあったように、口の中から小さな泡がコポコポと出てくる感じがありました。

病院に電話をして、低用量ピル(ルナベル)を再度処方してもらいました。すると、症状はなくなりました。

そして同時に、呼吸器外科でレントゲンをとりましたが、肺のしぼみはありませんでした。

そして、薬からの開放

レントゲンをとったとき、呼吸器外科の先生から、手術もしたし肺はしぼんでいないから、呼吸器外科としては、問題ないと言うしかない。年齢的にも薬をやめてはどうか?と言われました。

それを婦人科の先生に伝えると、とても心強いとのことでしたし、私も薬をやめられるなんて、どんなに良いだろうと思いました。でも、それで、また苦しくなったら生活に影響が出てしまいます。

・・そんなこんなで、少し様子を見ていたところ、がん検診をした全く別の臓器から異常が見つかり、軽度なものだったのですが、ホルモン系の薬の処方は、NGとなりました。

閉経が近ければいいな、と血液検査をしたのですが、望む結果は出ませんでした。。

この時は、万事休す・・と思いました。でも、もう薬は飲めないし、症状が出ても仕方ないと腹をくくったのが2019年の10月頃。

・・・驚くことに、その後、なんの症状も出ていません。つまり、薬を飲まないでOKの状態になったのです。

2020年、コロナの影響があった3月以降は、5月に一度通院、次回は、半年後の11月の通院となり経過観察。おかげさまで症状はありません。(ただし、がん検診のおかげで、新たに受信する科が増えましたが。。)

そんなこんなで、月経随伴性気胸から治ったかどうかはわからないのですが、発症から7年、症状もなく、薬も不要という状況になりました。

YUKIKO

新たな病気のネタは見つかるし、薬は飲めなくなるしで、一時は最悪かと思ったけれど、棚ぼたでラッキーな感じ♪

コロナ禍における幸いでした。

生活どうする?

症状のところでもまとめましたが、気胸になると、生活に影響があります。

私は、仕事も家事も、そこそこで許される状況なので、恵まれていましたが、自分でどうにかできる状態ではないので、他の人にやってもらう、お金で解決することを常に考える必要があります。

例えば、お手伝いに来てもらう、買い物は通販を利用する、食事は出前をとる、テイクアウトをする、など。

また、いつも助けてくれる周りの人、特に家族には常に感謝して、仲良く過ごすことが大切です。

仕事どうする?

一番伝えたいのは、仕事をしている人は辞めないで、ということです。

力仕事はできませんが、異動をさせてもらったり、それまではしばらく休職するなど。特に正社員でしたら、その仕事を失うことは、とてももったいないことです。

なぜなら、長く付き合っていく必要があるし、治療や通院、また生活にもお金が必要になるからです。例えば、私の場合、バッグや靴、服なども、軽くて過ごしやすいもの、に切り替えました。

お金があれば、病気はもちろん、そんな生活の変化があっても、ある程度の安心感を得ることができます。また、美味しいものを食べたり、可愛いものを買ったり、の癒やしもできます。

自分にあった治療法が見つかれば、旅行にだって行けるのです。

会社を休みがちになることに、抵抗があったり、戸惑いがある場合もあると思いますが、人生において、そんな時もあるでしょう。休息のとき、といい意味で諦めましょう。

自分でなんとかせず、「サレンダー」を手に入れましょう。

YUKIKO

入っている保険の種類にもよると思いますが、私の場合、入院・手術および、ドレーンの挿入については、保険金がおりました。

また、罹患した後、あらたに生命保険には入れないと思ったほうがよいです。

まとめ

以上、月経随伴性気胸と付き合ってきた、私の記録でした。

精神的にも辛いこともあるかもしれませんが、あまり思い込まないで、背負わないで、ゆっくりと前向きに、楽しい気持ちで過ごすことをおすすめします。

きっとこの病気があなたを強く、しなやかにしてくれるでしょう。