- レシピ通り発酵させたけど、膨らんでない気がする。これでいいの?
- レシピ通り発酵させて焼いたのに、パンの膨らみが十分じゃない
- 日当たりのよいお部屋がなくて、常温で発酵させる環境がない
- ずっと見ていなくても簡単に手軽に発酵させる方法はないの?
とお悩みの方に、私の経験をふまえたおすすめの方法をご紹介します。
パンの発酵温度
さて、パンを発酵させるのに、最適な温度は何度でしょうか?
パン作り・お菓子づくりの材料器具老舗専門店、私も材料をすべて調達している、TOMIZ(富澤商店) の情報によると、
パンが作りやすい時期は5~7月上旬。気温、湿度ともに高くなるので作りやすくなります。
TOMIZ(富澤商店)おうちでパン作り_パンのギモンQ&A
気温 28℃ 湿度 70%以上 がパンを作るのに最適な状態です。
とあります。
なかなか、自宅の室内で実現するのは、厳しい条件だと思いませんか?
レシピによる違い
そもそもの厳しい条件に加え、レシピによって、”室温”だったり、”30℃”だったり、”28℃”だったり、いろいろあって何が正解だろう?と思われることもあると思います。
実際、どれくらい異なるか、TOMIZ(富澤商店) の人気レシピをピックアップしてみました。
レシピ | 一次発酵の温度・時間 | 二次発酵の温度・時間 |
---|---|---|
基本のソフトフランス | 26~28度・約2時間 | 室温・約40〜60分 |
全粒粉カンパーニュ | 28℃・30分 | 28℃・30分 |
春よ恋(高加水用) で作る ミミまで柔らか生食パン | 30℃・60分 | 30℃・60分 |
チョコチップスティックパン | 40℃・35〜40分 | 40℃・40分 |
ホシノ天然酵母で作る基本のパンドカンパーニュ | 室温20℃なら1時間(ひとまわり大きくなれば) | 30℃・70〜80分(ひとまわり大きくなれば) |
ハードパンかソフトパンか、また、粉の種類、酵母の種類、チョコやナッツなどのトッピング、またレシピ提供者である先生によっても異なるので、レシピ通りにするのが一番です。
でもたとえば、”室温”といったざっくりとしたレシピの場合、同じ家でも季節によって変わったりするので、迷ってしまいますよね。
ベストは室温28℃ですが、それってかなり温かい状態で、冬はまず難しい。
そんなとき、基準になるのは、発酵の温度・時間ではなく、仕上がりなのです。
大切なのは仕上がり
温度や時間をしっかり守っても、膨らまない場合があります。そんなとき、ちゃんと発酵したかどうか?をはかる目安は、下記2点になります。
目安1.生地の大きさがレシピ通りになっているか?
”ひとまわり大きくなったら” とか ”2〜3倍”になったら、という大きさの目安がレシピに書かれていると思います。
もし、指定の温度、時間で発酵させてもその大きさになっていない場合は、さらなる発酵が必要です。
ちなみに、”ひとまわり大きい” ってどんな感じでしょうね?明確に基準はなく、目分量になってしまうと思いますが、丸めた生地がぱっと見て大きいとわかる大きさなので、上から見たときの縦横が、1.3〜1.5倍程度が目安になると思います。量としては、2〜2.5倍くらいです。
なお、量の場合は、寸胴のタッパーに入れるとわかりやすいです。高さで2倍や3倍を測ることができます。
目安2.穴がふさがらないか?
ひとさし指に粉をつけて、生地の中に、第一関節と第二関節の間あたりまで、突っ込んでみます。
このとき、窪んだ穴の部分がふさがってこればまだまだ、ふさがらずにそのまま空いていれば、完了したという合図になります。
フィンガーテストというやり方です。
発酵しない・膨らまない原因
室温・常温で発酵させている
室温・常温で、という場合は、温度計で、発酵させる場所の気温を測ってみてください。
寒い冬で、日当たりもなければ、室温が20℃になっていないこともあると思います。
そんなときは、発酵させるのは難しいので、おすすめの方法を参照ください。(可能ですが、時間がかかるのです)
夏でも、エアコンがいらないような涼しい場所だったり、エアコンがキンキンに効いている場合は、日当たりの良い場所に移動されることをおすすめします。
ボールや容器が冷えている・キッチンのテーブルが冷たい
室温は25℃を超えていて十分暖かくても、キッチンのステンレスのテーブルの上で、ガラスやステンレス・琺瑯など、冷たい素材のボールなどで発酵させている場合、その中が冷えている可能性があります。
そんなときは、生地そのものの温度を測ってみてください。
生地に直接さして測れる温度計を使うと、とってもわかりやすいです。20℃に達していないことも多いと思います。
また、”捏ね上がり生地温度27℃程度” と、一次発酵の前の、捏ねた段階での温度の目安が書いてあるものがあります。そんなときも、この温度計は活躍します。
バターや水、牛乳などを室温に戻したり、冬であれば、少し温めたり、と工夫して、粉と混ぜて捏ねる必要があります。
▼ボールは透明プラスチックがおすすめです。冷えないし、発酵具合が確認しやすい!レンジも食洗機も使用可。
時間が短い
室温や生地の温度が高ければ、レシピの時間通りに、もしくは、時間より早く発酵しますが、温度が低い場合は時間がかかります。
生地を温めるか、時間をかけて、仕上がりの大きさになるまで待ちましょう。
湿度がたりない
発酵の条件として、温度以外に、湿度 70%以上があります。
日本は、夏は湿度が高いですが、秋から冬はかなり乾燥しますので、湿度にも十分気をつける必要があります。
生地が乾燥しないよう、生地に濡れ布巾やラップ、タッパーやボールなどをかぶせておきましょう。
▼温湿度計は一家に一つあると、熱中症やインフルエンザウィルス対策にもなるため便利です
おすすめの方法
ここまで、発酵しない原因を紹介してきましたが、じゃあどうすればよいの?となります。
私も発酵が進まない環境でパンを作っていて、まず、失敗することがなく、確実で簡単な、おすすめの方法を2つ、ご紹介します。
1.オーブンの発酵機能を使う
オーブンレンジやコンベクションオーブンには、発酵機能がついていると思います。
それを使うのが一番確実です。
家で使っている、東芝の石窯オーブンは、30℃、35℃、40℃の設定が可能です。
一次発酵には30℃、二次発酵には35℃か40℃を使います。また、28℃とレシピにある場合も、30℃で少し短めの時間設定で、やってしまいます。
ただ、オーブンレンジを1時間ほど占領するので、よく使う時間を避けて使う必要があります。
天然酵母パンなど、28℃で5時間以上など、長時間の発酵が必要な場合の解決方法は見つかっていません。冬であれば、電気アンカを弱にして布団に入れるなど、実験中です。
2.ホームベーカリーを使う
ホームベーカリーにも発酵機能があります。
家で使っているのは、パナソニックの数年前のホームベーカリーですが、「マニュアル機能」を使用することで、発酵をすることができます。
私の場合、捏ねももっぱら、ホームベーカリーに頼っていますが。
ただ、ホームベーカリーの場合、レベルはあっても温度設定がないので、生地に温度計を差して図りながら、レベルを調整しています。
5分ほど発酵させて、蓋を開けて温度計を見てみて、理想の温度になっていない場合は、レベルを上げます。(この場合、レベル2→3へ)
取扱説明書によると、室温の温度をふまえて調整しているようです。
「マニュアル機能」の発酵温度は、発酵レベルに応じた独自のプログラムで設定されています。したがって、「マニュアル機能」に温度を設定する機能はありません。
Panasonic よくある質問 【ホームベーカリー】「マニュアル機能」の発酵温度
発酵温度は室温に影響を受けます。発酵段階に応じてレベル1~4を使い分けていただき、あとは発酵の具合を見ながら発酵時間で調整をしてください。設定できる時間は「10~120分」です。
その他の方法
その他の方法をご紹介します。これらは、少し面倒だったり、見守る必要があったりして、確実ではないですが、うまく調整できれば、発酵も進むと思います。
クーラーボックス・保温性の高い鍋などに温かい水と一緒に入れる
クーラーボックスや、ル・クルーゼやストウブなどの保温性の高い鍋をお持ちの方は、その中に生地を入れて発酵させることも可能です。
クーラーボックスであれば、瓶やコップに温かい水を入れて、生地の入ったボールやタッパと一緒に入れます。(コップは転倒に注意)
鍋であれば、お湯を張って、その上に生地の入ったボールやタッパを入れます。
いずれの場合も、ボールやタッパには、ラップなどで蓋をして、乾燥防止をします。
この方法は、温度調整がなかなか難しいのと、ご存知の通り、お湯は温度が下がってくるので、見守っていないと、温度が下がっている場合があり、都度、温かいお湯を足す必要があります。
つねに、温度計とにらめっこですね。
▼私の場合ル・クルーゼの大きい鍋 ココットジャポネーズで何度か試しました
外で(?):温度・湿度がキープできて、鳥やネコに襲われなければ
うちのように、西向きマンションの1階となると、正直、夏以外は、発酵が進む理想的な温度・湿度を室内で実現するのは厳しいです。
しかしながら、庭には少し日が当たる場所があり、そこで可能かどうか?ということです。
その場合も、温度と湿度が理想的で、それを保つことができれば可能だと思いますが、やったことはありません。
また、鳥やネコの攻撃、また風で倒れたりしないよう、対策の必要があります。
それでも膨らまない!ほかに考えられる原因
温度を完璧にしても膨らんでくれないよ!という場合は、温度以外の原因が考えられます。
可能性の高い、2つをご紹介します。
イーストが古い
過去に開封済みのイーストを使用している場合は、新品に取替えた方がよいです。目には見えなくても、湿気っている可能性が高いです。
うちは、マンション1Fのためか、湿度が高く、開封済みのイーストではまず、膨らみません。
そこで、3gの小分けのイーストを使っています。まずは、お試しで、10packくらい、購入されることをおすすめします。
分量が適当
パンは、ベーカーズパーセントという、配合比率が決められているくらい、粉や砂糖、塩、水分の分量を完璧に測ることが求められます。
お菓子作りも似ていますが、毎日のおかずを作るみたいに適当な分量では作れません。
デジタルスケールを使用して、0.1g単位で図りましょう。
以上、室温で発酵しない環境に住む私からのおすすめでした。
ご参考いただければと思います。
西向きのマンション1Fに住んでいるため、夏以外は部屋に日がほとんど入りません!常温で発酵させるのは不可能です。